平成30年 新年のご挨拶
謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
古社寺保存法制定120年の節目の年であった昨年は、これまで専ら文化財の指定・保護に重きを置いてきた文化財保護法に、文化財を地域振興に活用する仕組みを盛り込むための検討が開始され、昨年末の文化審議会の答申を経て、今通常国会に改正案が提出される見通しです。また、文化庁の京都移転をにらみ、今年中には大幅な組織改編が予定されており、保存・修理の現場にも様々な変化が訪れることが予想されます。
我が国の文化財は、各世代の当事者による並々ならぬ努力によって現代まで伝えられてきた、代替不能な「スペシャル」なものばかりであります。一口に文化財といっても、その様態はさまざまであり、個々の文化財の特質や、どのように保存・継承されてきたのかといった十分な知識が共有されることがないまま、前のめりで振興・活用施策が進められ、結果的にかけがえのない文化財を消耗させるようなことは決してあってはなりません。
文化財保護施策の大きな転換を控え、新たな時代が目前に迫る中、引き続き着実な保存修理に邁進してまいりますとともに、文化財を地道に守り伝える大切さについて、様々な機会をとらえて正確な情報の発信につとめ、広く社会のご理解を賜りつつ、我が国文化の向上と地域振興に微力ながら寄与することができればと考えております。
本年も一層のご指導、ご鞭撻を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
平成30年1月1日
株式会社光影堂 代表取締役
一般社団法人伝統技術伝承者協会 総務担当理事
大菅 直